久々の画材選び

美術

 

いま、小さな作品をいくつか作る計画を立てています。
それに伴い、支持体にするキャンバスを貼る際に使うキャンバスタックスが必要になり、久々に画材店に行きました。
(支持体=絵画の塗膜を支える面を構成する物質。キャンバス、パネル、ボード、紙等がある)
(キャンバスタックス=キャンバスを貼る際に使う専用の釘。)

少し足を伸ばした所に大型店もあるのですが、キャンバスタックスさえ手に入れば良かったので、きっと割高だろうとは思ったのですが、近場の画材店に入ってみました。

そこは、小さくて落ち着いた佇まいの画材店で、ずっと日本画材料と額縁のお店だと思っていたのですが、最近になって画材全般の取り扱いがあることを知り、少し気になっていたところでした。

入店してみると予想していた通り、画材はほぼ定価で売られており、パッケージにも煤のようなものが着いていたりしたのですが、それがまた妙に懐かしい気分にさせてくれました。

 

『画材は本来、高価なもので、それだけに大切に使っていたんだよね。』

かつて愛用していた、ホルベイン社やクサカベ社の油絵具やアクリル絵具、懐かしい画材の数々を目の当たりにしたことで多くのことを思い出しました。

 

 

結局、思い出と共に道具に見とれてしまい、キャンバスタックの他に絵筆とペインティングナイフを購入していました。

絵筆は馬毛の手ごろなサイズのものを選びました。
狸毛の先が丸い形の筆も良いと思ったのですが、今回は見送りました。

かつて、油彩画をかいていた頃には、絵筆と同じくらいペインティングナイフを使っていました。
好みの形状や大きさはいまも憶えていて、それに近いものを選びました。

 

 

これは学生時代に同期から教わったことですが、いくつかの画材においては、同じメーカーや規格で作られたものでも、かきやすさに若干のバラツキがあるものです。

絵筆の場合は、筆の毛束の根元から中央にかけての部分が膨らんだ形状であり、毛先がキュッと締まったものが絵の具の含みが良く、扱いやすいです。

 

 

当面はアクリル画をかく計画なのですが、今回購入した画材は油彩画用のものにしました。
本来ならば、アクリル画のためにはナイロン毛の絵筆を選ぶことが多いようです。

それでも、工夫と手入れさえ怠らなければ、馬毛や狸毛の筆も使えます。
さすがに毛質の荒い豚毛は扱いにくいでしょうけれど、そこは各々の判断です。

ブランクがあるにも関わらず、こんなところで、妙なこだわりが出てしまいました。

 

 

『気付かされること、そして自ら気付くことで人は変われるものです。』

これは、全ての人がそうではないとは思いますが、油彩画を学んだことがある人には、妙なプライドを持ち得る傾向があり、かつては、わたしにもそれがあったことは間違いありません。

画材を購入する際になって、店主の方と雑談を交わす中で、自分の発する言葉の端々にそれが未だに残っていることに気付かされました。

店主は年配の女性で、とても気さくな方でした。
だからこそ、今回の気付きを得ることができたのでしょう。

そのお店には今後も画材を買い求めに行こうと思っています。

きょうもまた、ずっと守り続けたいものと、手放したほうがいいものに気付くことができたのでした。

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