創造性と生産性

美術

 

いま、美術作品を制作するために、構想を練る日々を送っています。
近年は、制作に入るシーズンに合わせて、環境を整え、自分自身を整え、日々の練習を更に強化していくサイクルを繰り返しています。

美術の制作活動をするうえで、基本となる練習といえば、やっぱりスケッチやデッサンといえるでしょう。
それは制作の内容やモチーフにもよりますが、早くても30分、ときには数時間をかけて行うものもあります。

社会生活を送る中で、制作に充てる時間を捻出して続けていくことは簡単なことではありませんし、その限られた時間の中から、更に練習に充てる時間もあえて取るのですから、短い時間を質の高いものにしていく工夫も必要になってきます。

そして、あまりにもストイックになってしまうと、今度は創造性が失われがちになります。
この辺りのバランスを取るためにも必要なことは、日々の練習であるとわたしは思っています。

 

これは数年前にハッと気づかされた言葉です。
ヨガの恩師の言葉だったのですが、美術、いやどの分野においても共通していえることなのではないかとさえ思っています。

『創造性には自由が必要ですが、生産性には規律が必要です。
 自由がなければ、創造力を発揮することはできません。
 そして、規律がなければ、生産的になることはできません。
 つまり、人生は創造性と生産性の両方のバランスです。』

 

それは物事の真理をついた言葉だと思う反面、何だか耳の痛い言葉にも感じました。

かつて10代の頃に絵を学び始めたときには、本当に熱心にスケッチやデッサンをしていました。
モチーフの瓶に映った光や影、水滴までも描こうと励んでいました。

それが、画学生になってしばらくすると、デッサンもどんどんラフなものになり、次第にはスケッチすら取らずに感覚だけで絵の具に手を伸ばすことが増えていきました。

内心では、本当は良くないことであることはわかっていながら、はやる心を抑えることができなくなってしまっていたのです。

その言葉が、自身の過去の失敗を改めて見直す機会を与え、正してくれたのでした。

わたしは随分と遠回りをしてきた方だとは思いますが、だからこそ自分らしく軌跡をえがいて行けるような自由と規律を持ちあわせることが叶いました。

良いものをつくって行きます。

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